この形なあに?
FOUND IMAGES
2021
GRAFIC / BOOK / EXHIBITION
我々は大人になるにつれて、想像を自由に羽ばたかせる力を失ってはいないだろうか。小説「星の王子さま」では、冒頭に1つのシルエットが登場する。飛行士が描いた帽子のようなシルエットは、中身をみると実はゾウを飲み込んだウワバミである。既成概念を取り払って、子供の頃の柔らかい頭で自由な発想の大切さを私に伝えてくれた。想像することは自由で大切だ。
そこで、子どものころに、空の雲を見て、何かのかたちを思い浮かべたような経験を再現するため、私は「シルエット」に着目して、一つの比較的単純なシルエットの中に多様な情景を見立てていくプロジェクトを思いついた。
それぞれのシルエットを、目を凝らして見てほしい。突然、それが何かの形に見える瞬間が訪れるはずである。受け身ではなく、能動的に見立てていくことで、生き生きとした視覚体験が生み出されてくるのだ。
ここに示されているシルエットには正解がない。ごく単純な図形の組み合わせによってつくられた単純な形の中に、見る人のイマジネーションを思い切り広げたいと思った。ここでは、自分が面白いと感じる多様なアイデアをシルエットにの中に投影してみた。いずれも、多くの人たちが「なるほど」と納得できる見立てにしていくことが大事である。一つのシルエットに意外性のある情景を見立てていくことで、想像する面白さとその魅力が浮かび上がってくる。
作品制作では、絵本の形式で視覚表現を通じ、大人と子供がコミュニケーションをとる楽しさを考えた。展示では、スチロール立方体を使って、その立方体を壁に入れ込んで、見る人がその立方体を取り出すと、違う面に違う発想が見えるようにした。
想像力は重要である。この作品「FOUND IMAGES」を通して、新しい意味や形、イマジネーションが生まれるときめきを体験して欲しい。




